日本三景の一つとして、知らない者はいない名勝・松島。五大堂や瑞巌寺を巡り、海沿いの華やかな活気に触れた後、私はあえて海岸線のホテル群を背に、山側の静かな一角へと足を向けた。
目的地は『湯の原温泉元湯 霊泉亭』。知る人ぞ知る隠れ家のような元湯である。
なお、同じ宮城県にある作並温泉(さくなみおんせん)、秋保温泉(あきうおんせん)、も訪問しており、訪問記事はこちらから。
施設情報 #
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 施設名 | 湯の原温泉 元湯 霊泉亭 |
| 所在地 | 宮城県宮城郡松島町松島湯ノ原11 |
| 料金 | 700円 |
| 泉質 | メタケイ酸泉 |
| 浴槽 | 内湯のみ |
| 営業時間 | 8:00~20:00 |
| 公式サイト | https://www.matsushima-kanko.com/tomaru/detail.php?id=42 |
浴場と温泉の特徴 #
到着まで #

Google Mapの看板の案内を頼りに、やっと『湯の原温泉元湯 霊泉亭』に辿り着くことが出来た。松島の高台にあるため、観光地からは少々遠い。

建物は、歴史を積み重ねたことが一目でわかる、重厚な木造建築。宿泊も受け入れているというその建物は、観光地の喧騒から完全に隔絶された風格ある佇まいを見せていた。
入浴料金の支払いを済ませ、浴場へ向かう。運良く他の客の姿はなく、この歴史ある空間を私一人で独占することができた。
泉質等 #

泉質はメタケイ酸泉であり、色は無色透明である。加水はしていないものの、源泉が13℃と低いため、加温をしている。また、残念ながら、循環・塩素消毒も有りの温泉である。風格ある浴室で一人湯に浸かる時間は至福であったが、塩素臭が結構強く、建物の雰囲気は良いものの、温泉自体の評価としては中々他人に勧めづらいと感じた。
歴史ある元湯、そして素晴らしい木造建築。その器が見事であればあるほど、管理上の理由であろう塩素の香りが、源泉の個性を覆い隠してしまっていることが惜しまれてならなかった。作並温泉で味わった足元自噴泉の生命力溢れる湯と比較すると、どうしても温泉そのものの鮮度という点では、物足りなさが残る結果となった。
館内施設 #

湯上りは、いつものように瓶入りコーヒー牛乳を飲んだ。温泉に入った後、館内に瓶入り牛乳を見掛けたときは、毎回飲むようにしている。これが温泉情緒を高めてくれる。

温泉から出ると、宿泊スペースへと向かう廊下が現れた。入口入って左が宿泊スペース、右が温泉スペースだった。外観の旅館建築そのままに、内装も古き良き日本建築といった感じである。

玄関入口には金太郎の人形と、湯の原温泉の由緒書が掲示されていた。
まとめ #
松島という超メジャー観光地にありながら、こうした静かな時を過ごせる場所があること自体、一つの発見であった。建物が放つ圧倒的な情緒と、独占できる静寂。それだけで、秋保での嫌な記憶を上書きするには十分な価値があったと言える。
たとえお湯の質に一抹の寂しさを感じたとしても、あの木造建築の階段を歩き、静寂の中で湯を浴びた記憶は、松島観光の単なるおまけではない、確かな旅の厚みとなった。