福島県福島市にある飯坂温泉(いいざかおんせん)を訪問した。一度目は、明治時代の面影を残す共同浴場『鯖湖湯』の真隣に立つ『ほりえや旅館』に宿泊し、二度目は、駅近で利便性の高い老舗『平野屋旅館』に宿泊した。どちらも家族経営の温かさが滲み出る、こじんまりとした名宿である。
なお、同じ福島県にある東山温泉(ひがしやまおんせん)と磐梯熱海温泉(ばんだいあたみおんせん)も訪問しており、訪問記事はこちらから。
アットホームな『ほりえや旅館』 #

飯坂温泉の中でも、『ほりえや旅館』の滞在は忘れがたい。歴史を刻んだ木造建築の重厚な佇まい。温泉も素晴らしく、泉質は弱アルカリ性単純泉で色は無色透明であり、源泉掛け流しの温泉が貸し切りで楽しめる。

ほりえや旅館は食事も素晴らしく、手の込んだ和食は、福島市産の日本酒『摺上川』(すりかみがわ)と非常に相性が良かった。さらに、デザートの福島県産桃『あかつき』の甘美な味わいが、幸福な夜に完璧な幕を引いてくれた。
ほりえや旅館のより詳しい宿泊体験記は、以下を参照のこと。
熱湯の共同浴場『鯖湖湯』 #
また温泉地としての立地も良く、ほりえや旅館を一歩外に出れば、すぐ隣に『鯖湖湯』という共同浴場がある。

浴衣姿のまま下駄を鳴らして共同浴場へ向かう。そこには47度近くにもなる灼熱の湯が待っている。かつて秋保の共同浴場で「逃げるのか」と冷笑された記憶が頭をよぎるが、飯坂の空気は正反対だった。熱さに悶える私に、地元の先客たちは「熱いだろう」「こっちは少し入りやすいよ」と優しく声をかけてくれる。この熱さを介した人情こそが、飯坂の、そして東北の真の体温なのだと知った。
鯖湖湯のレビュー記事は以下を参照のこと。
1泊2食5,500円の『平野屋旅館』 #

二度目の飯坂訪問で宿泊した『平野屋旅館』は、昭和レトロな佇まいの小さな宿である。
何より驚くのは、1泊2食付で5,500円という圧倒的な安さだ。建物に古さはあるが、24時間入れる適温の源泉掛け流し風呂や、お腹に優しいウォシュレット対応など、心地よく過ごせる工夫がある。
さらに、部屋食で味わう手作りの田舎料理は、高級宿並みの品数と大食漢の私でも満腹になるほどのボリュームを誇る。コスパと美味しい料理を求める旅人には、これ以上ない温かい名宿だ。
平野屋旅館のより詳しい宿泊体験記は、以下を参照のこと。
飯坂温泉へのアクセス #

飯坂温泉へは公共交通機関のみでアクセスできる。東京から新幹線を降り、福島駅からレトロないい電に揺られること約20分で到着する。
まとめ #
宿の内湯で静かに自分と向き合い、共同浴場で地元の活気に触れる。そして部屋に戻れば、究極の酒と食が待っている。
秋保での苦い経験を経て辿り着いた飯坂には、温泉地の光がすべて詰まっていた。古い建物を守り、訪れる人を家族のように迎え、極上の恵みを振る舞う。飯坂温泉は、私にとって単なる旅先ではなく、ただいまと言いたくなるような、温かく熱い故郷のような場所になった。