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絶品バイキングと地酒に酔いしれる――東山温泉(福島県会津若松市)

絶品バイキングと地酒に酔いしれる――東山温泉(福島県会津若松市)

·1169 文字·3 分

会津の奥座敷へ、磐越西線が運ぶ旅情
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東京から新幹線で郡山へ。そこから磐越西線の車窓を楽しみながら会津若松へと向かうルートは、東北の旅の中でもとりわけ旅情を誘う。会津若松駅からバスで約20分。川沿いに「向瀧」や「新滝」といった、その名の通り「滝」を冠する名宿が軒を連ねる東山温泉(ひがしやまおんせん)が見えてくる。

今回の宿は、高台に位置する『くつろぎ宿 千代滝』。宮城での日帰り温泉巡りを経て、ようやく腰を落ち着けて過ごす「宿泊」の旅である。

バイキングの概念を覆す、会津の「食」の底力
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千代滝での滞在で、何より衝撃を受けたのは食事の質の高さであった。夕食・朝食ともにバイキング形式だが、そこにあるのは「食べ放題」という言葉から連想される大味な料理ではなかった。

特に夕食の天ぷらは、天ぷら専門店で供されるそれと遜色ない、卓越した揚げ上がり。朝食でいただいた鯖の焼き加減ひとつをとっても、職人の丁寧な仕事が透けて見えるような絶妙な塩梅であった。これまで数多くの宿に泊まってきたが、バイキングでここまで一点一点の料理に感動を覚えることは珍しい。会津の豊かな食文化の底力を、思いがけぬ形で突きつけられた思いだった。

水が醸す「地酒の迷宮」を往く
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会津若松は、言わずと知れた酒どころである。この地が育む「水」の良さは、食事だけでなく、当然ながら日本酒にも結実している。

夕食時から地酒の飲み比べに興じたが、それだけでは飽き足らず、夕食後は館内にある日本酒バー『地酒の館』へと足を運んだ。会津の銘酒がずらりと並ぶその空間は、日本酒好きにとっては文字通りの聖地。澄んだ水から醸された酒は、どれも喉越しが良く、芳醇な香りが鼻を抜ける。

秋保の共同浴場での騒々しさや、松島での消毒臭の記憶は、この極上の酒と料理によって、静かに、そして確実に洗い流されていった。

二つの「滝」を巡る贅沢
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宿泊した千代滝の展望露天風呂に加え、姉妹館である「新滝」の温泉も利用できるのは、この宿の大きな魅力だ。

高台から城下町を見下ろす開放感溢れる千代滝の湯と、川沿いの歴史の重みを感じさせる新滝の湯。東山温泉に数多く存在する「〇〇滝」という名の宿たち。その名称が示す通り、豊かな水と滝に育まれたこの地で、私はようやく心からの「くつろぎ」を取り戻すことができた。

総括:水と酒と情けの街
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会津の人々の距離感は、かつて訪れた飯坂温泉の人々の温かさに通じるものがあった。 バイキングの料理に感動し、地酒の奥深さに酔いしれる。アクセスの良さに甘んじることなく、提供されるものの質を極限まで高めている千代滝での滞在は、「泊まってこそ分かる温泉地の価値」を再認識させてくれるものであった。

旨い飯と、旨い酒。それだけで、旅はこれほどまでに満たされる。会津・東山温泉は、心から再訪を願う、優しき水の都であった。

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