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住宅街に湧く関西最強の炭酸泉——花山温泉(和歌山県和歌山市)

住宅街に湧く関西最強の炭酸泉——花山温泉(和歌山県和歌山市)

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和歌山県和歌山市の住宅街にある花山温泉(はなやまおんせん)を訪問した。花山温泉は、茶褐色に濁る高濃度の炭酸泉と、分厚く堆積した析出物が特徴の源泉掛け流し温泉である。加温なしの26℃の源泉風呂と41.5℃の熱めの湯を行き来する交互浴も楽しめ、泉質重視の温泉ファンからは関西最強の炭酸泉と評されることもある。

派手な設備や観光地的な魅力はないが、そのぶん温泉そのものの力をダイレクトに味わえる温泉だ。実際に何度か訪れてみると、この温泉がなぜ高く評価されるのか、入った瞬間に理解できた。以下では、実際の体験をもとに、その魅力を詳しく紹介していく。

なお、同じ和歌山県にある龍神温泉も訪問しており、訪問記事はこちらから。

施設情報
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項目 内容
施設名 花山温泉 薬師の湯
所在地 和歌山県和歌山市鳴神574
料金 休日:朝1,500円、夕方1,200円
泉質 含二酸化炭素・鉄(II、III)-カルシウム マグネシウム-塩化物泉
浴槽 内湯複数、サウナ1、水風呂1、露天風呂1
営業時間 8:00~22:00
公式サイト http://www.hanayamaonsen.com/

浴場と温泉の特徴
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茶褐色の炭酸泉と析出物、源泉掛け流しの魅力
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花山温泉の泉質は、含二酸化炭素・鉄(II、III)-カルシウム マグネシウム-塩化物泉である。この長く複雑な名称が示す通り、多種多様な成分を極めて濃厚に含んだ全国屈指の温泉である。

温泉の見た目については、第一印象は濃いこと。茶褐色に濁った湯は重厚感があり、湯船の縁や床には長年の析出物が分厚くこびりついている。濃い茶褐色の温泉と、湯船の凄まじい析出物に圧倒される。見るからに歴史と成分の濃さを感じさせる光景だ。

中でも感動したのが、加温されていない26℃の源泉がそのまま掛け流されている浴槽の存在。体温よりもやや低いその湯にじっくり浸かっていると、身体の奥からゆっくりと整っていく感覚がある。この源泉風呂は非常に人気が高く、いつも数人が静かに浸かっている。

後から調べてみると、やはり温泉マニアの間でも関西で一番の炭酸泉と評価されていることがわかった。仏生山温泉を偶然引き当てた経験もあるが、自分は温泉運に恵まれていると感じている。

ぬる湯と熱湯の交互浴
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興味深かったのは、館内に掲示されていた「ぬるい浴槽と熱い浴槽を交互に入る」という入浴法のすすめ。いわば、ぬる湯⇔熱湯交互浴だ。昨今のサウナブームでは、高温サウナと冷水浴の交互利用が流行っているが、心臓への負担が大きいとされている。私自身も一度だけ試してみたが、あまりの負荷に驚いて以降避けている。

それに対し、花山温泉での交互浴はぬる湯が26℃、熱湯が41.5℃と比較的穏やかで、身体への負担も小さい。それでいて、身体の内部からしっかりと温冷の刺激を感じられる、理にかなった方法だと感じた。源泉の温度が適度に低い場所でしか成立しにくいスタイルなので、今後もっと注目されてもよいのではないかと思う。

なお、花山温泉には露天風呂もあるが、若干手狭であり、住宅街にあり見晴らしもそれほど良くないためか、あまり露天風呂に入っている人は見掛けない。それよりも、内湯の析出物に圧倒され、また、内湯にてぬる湯⇔熱湯交互浴が楽しめるため、内湯の方が人気のようである。

地方の日帰り温泉としては少し高い部類に入る花山温泉。しかし、この唯一無二の泉質を体験した後のコスパ感はどう変わるのか?料金体系とあわせて詳しく解説している。

花山温泉は汚いのか?
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固形化した温泉析出物

花山温泉の温泉析出物は、泉質と歴史を感じさせる見事なものだが、世の中にはこの析出物を「汚い」と感じる人もいるらしい。Google検索で花山温泉について調べると、「花山温泉 汚い」というキーワードが予想で出てくる。

花山温泉のメンテナンス

結論から言うと、温泉析出物は温泉成分の塊であり、全く汚くないのだが、そう感じる人がいることは、温泉マニアとして残念に思う。この誤解を解くべく、以下記事に「汚い」に関する誤解と解説をまとめてある。

館内施設
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施設全体としては、どちらかといえばレトロな造りである。ただし、清掃が行き届いており、古さよりも温かみを感じさせる。周囲の環境も住宅街の中で落ち着いており、地元の人に長く愛されてきた温泉なのだろう。

館内には畳敷きの休憩所があり、座椅子が並べられていた。やや手狭ではあるが、湯上り後に休む分には充分である。また、受付の前には長机と椅子があり、そちらでも休憩することが出来る。

いちご牛乳

脱衣所のすぐ外には、瓶入り牛乳の自動販売機が設置されており、私はいちご牛乳を頂いた。メーカーは雪印メグミルクである。大手牛乳メーカーで、2026年現在唯一、瓶入り牛乳を売っているメーカーとなってしまった。

井出商店のラーメン

受付前には土産物コーナーもあり、和歌山県で人気のラーメン屋・井出商店のラーメンが売られていた。和歌山ラーメンとして非常に人気があり、私も花山温泉の訪問後に井出商店に向かったが、あまりの行列に諦めたことがある。こちらでまずは土産を買って、試してみれば良かったと悔やんだ。

花山温泉 醤油せんべい

他にも、花山温泉ゆかりの土産物が売っていた。花山温泉 醤油せんべいや、入浴剤の花山温泉 炭酸タブレットなど。

炭酸タブレットポスター
炭酸タブレット

花山温泉へのアクセス:和歌山市駅から徒歩50分
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花山温泉へのアクセスは決して良くない。最寄りの和歌山駅・和歌山市駅からは離れており、私は和歌山市駅から徒歩で訪れたことがあるが、片道およそ50分もかかってしまった。正直に言っておすすめできるルートではない。

私が初めて訪れたのは、青春18きっぷで西日本から東京へ戻る途中、和歌山市に一泊することになり、温泉を探していたときに偶然見つけたのがきっかけだった。何の期待もなく訪れた温泉が、実は全国区レベルの名湯だったという発見に、運命的なものを感じた。

まとめ:泉質重視の人へおすすめ
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花山温泉は、「温泉街を散策したい」「宿でゆっくり過ごしたい」といった旅情を求める人には不向きかもしれない。アクセスの悪さ、宿泊のしづらさなど、いわゆる温泉旅行としてのハードルは高い。

だが、泉質そのものを重視し、“本物の温泉”を求める人には全力でおすすめしたい。特に和歌山市周辺に用事がある人は、ぜひ足を運んでみてほしいし、私は関東からわざわざ訪れる価値も十分にあると感じている。

茶褐色の湯、重厚な析出物、加温なし源泉の掛け流し、交互浴のすすめ、ここには、他の温泉では得難い唯一無二の体験がある。

効く温泉を探している人にとって、花山温泉はきっと記憶に残る名湯となるはずだ。

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